カテゴリ:制作のこと( 43 )
作品エピソード
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2005年のテンペラ作品「おみやげ」(個人蔵)

ある日、娘が遠足で潮干狩りに行って、びっくりするほどたくさんのあさりを持って帰ってきました。潮抜きしようとボウルに入れた、そのあさり達は、どれもきれいで、ひとつとして同じ柄のあさりはいないことに、あらためて気が付きました。バター焼きやボンゴレにして、おいしくたっぷり食べた後、捨てるのが惜しくて、貝殻をきれいに洗って、いくつかを選んでビンに入れてとっておいたものを、描いたのです。

この作品はアートコレクターの山本冬彦さんが企画されていた「アートの見方・買い方」講座の画廊めぐりツアーで、個展会場に来てくださった参加者の方が「絵を買うのは初めて」とおっしゃって、買ってくださったものです。その時は展示してある絵の説明を求められ、これはどんなあさりなのかをお話しました。あとで「あの時作品を買ったのは、娘さんのおみやげだというエピソードを聞いたからです」というお手紙を頂きました。あれから5年が経ちますが、その方は今はもうたくさんの作品を持つコレクターさんになられたようです。描き手としては、そういう事柄に関われたことを、嬉しくありがたく思っています。

作品には描いたときのエピソードがはっきりしているものと、そうでないものがありますが、いま手元にないものは、描いた時とはまた別の、新たなエピソードがその人のところで生まれているようで、そんな話を聞くと嬉しくなります。
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by yucoon | 2010-01-09 12:53 | 制作のこと | Trackback | Comments(0)
卵黄メディウムを作る
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このごろ、版画制作ばかりやっていて、テンペラのほうの制作はあまりしていないのだけど、描きたくなった時にすぐ描けるように、キャンバスの下塗りはすでに何枚かしてある。でも絵の具を作るときのメディウムが、もうだめになってしまった。これはそれほど日持ちしないので、作ったらさっさと使わなければならない。作ってしまえば描くきっかけにもなるなーと思い、タマゴを割って黄身と白身を分けた。そしたら、おー、今日のタマゴは卵黄の色が濃くてコロンときれい!ということで、写真を一枚。あやしいお料理みたいだけど・・・。卵黄のうすーい膜をそっと破って、中身をビンの中へ。リンシードとダンマルワニスという画用油を混ぜたものを、卵黄に少ーしずつ混ぜながら入れる。とろ〜っとなったら、防腐剤を数敵入れて、できあがり。わたしの作品はだいたい小さいから、これだけあれば、結構描けちゃう。テンペラは絵の具を作りながら描くので、そのめんどくさい感じがけっこう楽しい。いちいち顔料を水で溶いて、この卵黄メディウムを混ぜて描くのです。準備はできたぞ。。。さーて。。。
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by yucoon | 2009-11-17 17:04 | 制作のこと | Trackback | Comments(2)
ゆっくりだけど
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工房に通うようになって、もうすぐ半年になる。すっかり銅版画のおもしろさにはまってしまい、いろいろ実験しております。だめだな、しっぱいだ〜!!という版は、裏を使ってもう一度やりなおし。単色で表現するのは、わたしにとっては新鮮なんだけど、色によって雰囲気がガラッと変わってしまうので、どの色を使ったらいいのか、いつも迷ってしまう。なかなかうまくいかずに「うーん、むずかしい〜」などどつぶやいていたら、いつだったか先生に「むずかしくないわよ、楽しめばいいのよ」と言われ、「あ、そうか!」と気がついた。少し日にちが経つとそういうことを忘れがちになる。あんまり悩まないで作ったものの方が、よくできるものだしな〜。
写真の作品は「メルさん」。色の違いで、思い出と現在くらい、違ってしまう。
今までに作った版画作品をファイリングしてみたら、意外と数が少なかった。ま、でも、ゆっくりだけど、少しずつ作品ができてきたので、楽しむココロを忘れずにやっていこーっと。
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by yucoon | 2009-10-16 11:34 | 制作のこと | Trackback | Comments(2)
絵の名前
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絵を描いているときは、無心というか空っぽになってしまうので、
言語モードはストップしてしまう。
だけど描いている最中に時々ふっと、タイトルらしき言葉が
浮かんでくることがある。まるでスキをみるようにしてそれはやってくる。
すぐメモしないと忘れちゃうので、ノートはいつもぐちゃぐちゃ。
そんな風に、描いてる時から、何を描いているのかわかっている時もあれば、
何も浮かんでこないまま描き終わることもある。
そういう時は絵ができても、なかなかしっくりくる名前が出てこない。
じーっと眺めながら名前を探す。
それでもダメな時はアウトプットは終わりにして、
ひとまずそこで放っておくことにする。
それから音楽を聴いたり、本を読んだり、何か見たりと、今度は
インプットモードに変えていくうちに、ポッと接点が見つかったりする。
名前がつくと作品に、なんというか人格みたいなものが現れるような気がする。
「無題」でもいいんだろうけど、やっぱり名前をつけたいと思うのでした。
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by yucoon | 2009-08-26 11:49 | 制作のこと | Trackback | Comments(4)
路地へ入れば
a0081110_23461081.jpg先週は工房も夏休みだったため、今日は久々に原宿へ。表参道は人でいっぱいだけど、工房へ向かう路地へ一本入れば、急に静かな道になって、空気も一変する。小さい路地にも素敵なお店がたくさんあるのに、いつも脇目もふらずにタッタと工房へ行き、可能な時間いっぱい、作業してさっさと駅へ向かうので、ほとんど寄り道していない。今日は試し刷りをしたいとウズウズしていた版に、やっとインクを入れることができたので、なんだかすっきりした気分になって、またさっさと帰ってきてしまった。今度、もうちょっと余裕をもって、路地をあちこち散歩できたらいろんな発見がありそうなんだけど、なかなか。
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by yucoon | 2009-08-21 23:54 | 制作のこと | Trackback | Comments(0)
材料を仕入れに
画材屋さんがセール中ということで、版画用インクと必要な道具を買いに神保町へ。国産のインクにはずらーっと2割引の赤札が。うー、迷っちゃう。工房の方とばったりお会いした。やはりみなさんこの時期に買い物されているよう。迷った末にインク3色とニードル、その他を買う。その後、先日教えてもらった「雁皮刷り」のための雁皮紙を見に、千石にある和紙の専門店へ。高級感漂う静かな佇まいのお店で、沢山の種類の和紙と染め紙がずらーり!染め紙の和紙は抽象画の作品のようだ。うー、こんなにいっぱいあるのか。。。これではお手上げだ。お店の人に聞いて、いろいろ見せてもらい、雁皮紙を3種類選ぶ。
次の作品のヴィジョンや、やりたいことが、はっきりしていないと、「選ぶ」という作業は、なかなか大変だ。そして今日は暑かった。ふぅ。。。
新たな材料を前にして、ぼんやりしたアイデアがビシッとなりますように。。。
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by yucoon | 2009-07-15 23:40 | 制作のこと | Trackback | Comments(0)
銅版画制作で思うこと
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工房には平日の夕方までしかいられないため、残りの作業でできることはなるべく家でやっているので、テンペラ画の制作はしばらくお休み状態になっている。版画の行程がわかるようになるにつれて、今までやってきたこととの違いが益々明らかになってくる。気持ちが高まってわーっと描いて、ちがう!って消してまた、だーっと描いてっていうプロセスが踏めないから、版画ではあーしてこーしてと考えているうちに、頭が整理されてきて、そのうちに熱が冷めて適温になり、描いていないときでもこうしようかな?なんて考えていたりして、その温度を保っていられる感じがする。版を作っているときはキャンバスに描いているときと同じようなダイレクトな感触があり、線ができていくにつれて、それなりにワクワクするんだけど、いざインクを詰めて刷ってみると、へ?こうなっちゃいます?という妙な距離感が生まれることがある。そんなふうにイメージ通りじゃなかったり、時にはイメージ以上だったりすることもあり、腐蝕液による「他力」が加わっている感じが新鮮だ。で、絵なら「描き」が終わった時点で作品が出来上がるけど、版画は版ができても試し刷りをした時点で、またそこから、ここんとこどーする?色は?紙は?という新たな課題が生まれてしまうのだった。数々の可能性や選択肢がいろいろあるために、またそこから何かをリスタートしなくちゃならない。経験を積まないとその辺をはじめから計算することができないんだな。版を作ったらほとんど後戻りはできないし、終わりどころが難しい。全部をコントロールできないところに面白さがあるんだろうけど。。。この間は薄い和紙の「雁皮刷り」やソフトグランドを使う技法なども習った。また選択肢が増えたので、大いに迷ってしまうけれど、新しいことを習うのはとても楽しいのでした。
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by yucoon | 2009-07-09 11:38 | 制作のこと | Trackback | Comments(4)
こんな感じで
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これは先月の工房展に出品した銅版画のうちの1点「雨だれハーモニー」。アクアチントやシュガーリフトという技法を、先生にいろいろ教えてもらいながら作った作品。テンペラで描いている時、もっとカリッとした細い線を出したい!と試行錯誤してきたけど、版画ならそれができるので、その辺が満たされる。そしてずっと色で描いてきたわたしにとって、単色というのもまた新鮮。どんどん作りたいけど、家では描画くらいしかできないし、何かといろいろ時間がかかるものなので、途中で冷静になれるのもいいかも。
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by yucoon | 2009-06-14 12:03 | 制作のこと | Trackback | Comments(4)
ふつつかですが
「夜のソネット」と名づけた版画の第一作目が嫁にでました。これはまったく思いがけないことです。まさしく処女作なので、世間知らずな子を嫁に出す親のような気持ちというか、なんというか、いいんですか??みたいな感じではありましたが、会場で一目惚れをして下さり、大切にしてくださるとのこと、なんとも幸せな子です。ご主人はお目にかかったことのない女性の方ですが、頂いたお言葉に感動と感謝がこみ上げてきました。作品が無事に届き、喜んで頂けたようなので、こちらも嬉しいかぎりです。これはわたしにとって意味深い出来事となりました。大事なことを気付かせてくれて本当にありがとうございます。
どうかお幸せに、そして良い夢を・・・。
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by yucoon | 2009-06-04 22:09 | 制作のこと | Trackback | Comments(2)
スケッチのたどりついたところ
なんか、ひとつ、わかった気がする。とりとめのないスケッチをしていて、だんだんわかってきたことがある。何かを目指したり、どこかへ向かおうとして描いていると、すごくつまんない絵になる。自分で自分に無理なオーダーをしていて、なんかもうわかんなくなった。そこらへんのことスコーンとやめてみたら、なんだかスイスイ。あ、なんだ、そうか、そもそも頼まれもしないのに描いているんだから、いいんじゃないのか?って。目指すことも向かうこともせずに、無心で描いたものは、そのままでいいのかも。。。嫁入り作品が、それを物語っているんじゃないのかな、と。ちょうどRADWIMPSを聴いてたら、「叶えた夢の数を数えよう。叶わない夢は誰かがきっとどこかで・・・」って歌ってた。そうだなぁ。叶ったことって結構あるんじゃないのかなぁ、と。。。うまくいったスケッチを壁に貼って眺めてみる。
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by yucoon | 2009-06-03 22:17 | 制作のこと | Trackback | Comments(0)