バルセロナ旅行記3
4月3日
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画廊へ行くのは11時ということになっていたので、朝食のあと、歩いてみるがまだまだ時間がある。バルセロナは小さい街なので、あっという間に移動できちゃうのだ。空の青色が日本の色と違って、濃くて鮮やかだ。またカサ・ミラのところまで来ちゃったので、チケットを買って中に入ってみる。

ここはガウディが集合住宅として建てたもので、少し前まではこんな風に公開されておらず、普通に人が住んでいた。今では通りに観光客が並んでいて、展示されている部屋も人がいっぱいだ。中はきれいに家具がディスプレイされていて、壁もきれいに塗られている。小道具としてアンティークな生活用品もそろえられていて、まるでドールハウスの中にいるようだ。このような形で世界中の人々に親しまれるようになるとは、ガウディも考えなかったんじゃないかな。屋上の煙突も以前はもっと黒ずんでいて、なんとなくかげりのある、薄暗い印象だったが、すっかりきれいに塗られていて青空と見事なコントラストを見せながら、ニョキニョキとそびえ立っていた。
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時間になったので画廊へ。作業しているマリアとルーカスが、なにやら大声で言い合っている。マリアは泣いているみたい。あれれ?展示は昨日の夜からほとんど進んでない。「大丈夫?」と聞いたら「他に手伝ってくれる人はいないのよ」と言い、マリアが全部一人でやっていたので、「自分の作品の展示は手伝いますよ」と言ってしばらく一緒に作業した。あれこれやっているうちに、ディレクターのルーカスと彫刻家のアナが、オフィスから出てきた。ルーカスはジェスチャーつきでゆっくりわかりやすいスペイン語で「今からカテドラルの横の美術館を見に行って、またここに戻ってくるから、あなたも一緒に行きましょう。」というので、ついて行くことに。マリアは作業があるから行かないそうだ。画廊を出るときマリアと目が合ったら、やれやれ!みたいな表情を返してきた。ルーカスの車は笑っちゃうくらいのポンコツで、後ろにはシートがない!アナは「私はスカートだからあなた後ろに乗って!」って言うけど、え?どこに座るんですか?ごっそりシートが外れていて鉄板じゃないか!「もうちょっと後ろのとこに座って。」っていう。シートがあったはずの少し後ろに荷台のカーペットが敷いてある。乗り込みながら「なんじゃこりゃ?すごいなコレは!!」と思わず日本語で言ってしまったら、ルーカスが、ははは と笑った。こういうときは言葉じゃなくても、わかるんですね。しょうがないから荷物のように丸くなって座る。途中クリーニング屋の前を通り、ルーカスが車の中からお店のおじちゃんに何か叫んでいる。と思ったら店のおじちゃんはクリーニング済みの衣類の入ったビニール袋を、後部座席めがけて投げ込んでくるではないか!よくわかんないまま、私は思わずそれをキャッチ。な、なんなんだよぉ、、もう・・・!・・・まあいいか。なんだか面白くなってきた。
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車はあっという間にカテドラル前の広場に着いた。広場は観光客でいっぱい。そこでデジャヴが起こった。え?そんなはずないのに、この場面、見たことある!車が止まって降りるまでのほんのわずかな間、不思議なことが起こったので、ひそかにびっくりする私。
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広場のカフェでドーナツとカフェコンレチェをご馳走になりながら、お話。アナは英語がわかるので、私がわからないそぶりを見せると、英語で言いなおしてくれる。この歴史的な建物内の美術館で来月グループ展をやるから、一緒に参加しよう!と言う。私は家族がいて、新たな契約をするには相談しなければならないし、少し時間を下さいと言った。ルーカスは私を”ニーニャ”(子供)だと思っていた!と言って驚いている。二十歳そこそこの小娘だと思っていたようだ。美術館のチケットブースをルーカスの顔パス?で入り、中を見学。昨日は写真を嫌がっていたルーカスもここではOKのよう。
一通り見終わった後、また、あの笑っちゃうポンコツ車に乗り込み、渋滞の交差点をぐいぐい走る。アナとルーカスの会話がなにやら言い争いに変わっていく。すごい早口だし何を言ってるんだかさっぱり。車のフロントグラスに過ぎて行く風景と二人のけんか腰のやりとりを、私は後ろの変なシートからひざを抱えて見ていた。なんだか海外ドラマでも見てるみたい。言い争いが白熱してきていきなり急ブレーキ。私は後ろにゴン!ちょっとちょっと、勘弁してよ!私はおかしくて笑ってしまう。「おー、ごめんね、」などと言いつつ、二人とも笑った。そして画廊に到着。画廊ではマリアが展示作業を続けていた。それを見たルーカスはすごい大声で怒り出す。私の作品の展示の仕方が気に入らないようだ。「1つの壁にまとめなさい!」とか何とか言っている。10点づつ左右の壁に分けて飾るやり方はマリアと私とで了解済みだったから、これでいいのに。。。マリアが何か言い返すと、ディレクターは俺だ!みたいな事言って怒鳴ってる。「これでOKだから、、、」とか言ってみても聞いてないし。ルーカスが自分で作品を並べ替え始め、「こっちのほうがいいでしょ?」と私に言う。私、どっちでもいいんですけど・・・と思いつつ、いろいろ考えてくれているようだからお任せします・・・はい。他にもいろいろ怒っているようだったので、私はまた夜のオープニングまでに来ますからと言って、その場を去る事にした。
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画廊からはグエル公園が近い。まだ時間がたっぷりあるので、タクシーでグエル公園へ。運転手さんがガムをくれた。グエル公園も人でいっぱい。こんなに混んでいるのは初めてだ。モザイクのベンチも人がびっちり座っていて、タイル模様なんか全然見えない。閑散としていて人なんかぽつんぽつんとしかいなかった時にしか来たことがないから、びっくりしちゃった。さっきの話をどうするか考えながら散歩する。けっこう暑くなってきた。アナによるとカテドラルの美術館での展示はとても魅力があるらしい。でもね。名誉を買うことよりも、作家として活動資金を得るために作品が売れてくれたら嬉しいと思うのです。私はどうしたいのか、日本に電話しながらも、答えは半分出ていた。
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2年前の旅の終わりから、お前は結局どうしたいのだ?ということを問われているんじゃないかと、ずっと思ってきた。今回の旅でその問いに対する答えが出るんじゃないかと思ってやってきた。ここへ来てこんなにもはっきりとした問いかけが待っているとは。あー、なんだかわかりました。少しずつわかってきました。この場所は私にとって、静かで優しい場所だけど、今日のモザイクのトカゲは、写真を撮りたい人がずらーっと並んでいて、順番に写真をとっている。ディズニーランドのミッキー状態だ。しかたなく横撮りして階段を降り、けっこう遠いメトロまで歩いて地下鉄で宿に戻る。
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身支度をして、7時半から始まるオープニングのために再び画廊へ。ジャズバンドの演奏がすでに始まっていた。そのうちにまた、ラジオのインタビューを受ける。マリアが英語で通訳してくれるが、答えるのになかなか苦戦した。
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フランスから参加しているアーティストとそのお友達でフランス側のカタルーニャ人だというもう一人のフランス人をマリアが紹介してくれた。お互いの作品を観ながら、それについて身振り手振りでお話。アーティストのフランス人は英語もスペイン語もダメということで、ずーっとニコニコしながらその場にいた。カタルーニャ人のそのお友達が英語でいろいろ話してくれる。アドレス交換などをして、やっぱり彼も来月、カテドラルの美術館のグループ展に参加するようだ。真っ赤なコートを着たフランス人のおばさんも、作品を熱心に見てくれた。「この鳥は何の鳥?」「何でも。あなたの好きな鳥です。」マリアはフランス語もできるので、通訳してくれた。いつのまにか9時半を過ぎていた。そろそろ帰ろう。みなさんにさよなら。アディオース!赤いコートのマダムは私に向かってオーヴォワール!というので最後にオーヴォーワール!と言って帰ってきた。夜の空気は昼間と違ってひんやりと冷たい。すっかり歩きなれてしまった道。もはや自分がどこにいるのかわからなくなる。気を引き締めて地下鉄に乗って帰る。今日はなんだかすごい1日だったな。

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by yucoon | 2008-04-11 18:26 | バルセロナ2008
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