マルメロの陽光
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スペインの映画監督、ビクトル・エリセが好きだ。1作目の「ミツバチのささやき」を学生の頃、有楽町の小さな映画館で、何度も観たっけ。その頃は映画を作るサークルにいたから仲間内でも話題の作品だった。そして2作目の「エル・スール」少女の目線と静かな映像美は忘れられない。そしてこの間、エリセの3作目となる、画家を撮ったドキュメンタリー風の映画「マルメロの陽光」というのがあると教えてもらった。もう10年以上前の映画なのに、3作目がある事を最近まで知らなかったのだ。そして、なんとかして観た。またしても、静かな感動が。じわりじわりとやってくる。画家がひたすら終わらない絵を描いている。犬が吠えている。工事の音が響いている。雨が降る。マルメロが熟していく。友人と語らい、歌う。特別なことは何も起こらない。坦々とした時間の流れに、人生の縮図が見える。言葉では表すことのできないものがたくさん。画家が見ているものは、言葉では言えない。だから絵を描く。その姿が語るものもまた、言葉にできない。だから映像になる。この映画の持つ2重構造には画家と監督それぞれの、表現に対する深い愛情を感じさせられた。まがりなりにも絵を描く者として考えた。完成することや結果が問題なのではない、それよりも描くというプロセスを愛すること。それは人生においても、死ぬために生きるのではない、今生きているというプロセスを愛する、ということと同じなのではないかと。
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by yucoon | 2010-03-20 14:47 | アートなこと | Trackback | Comments(4)
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Commented by 銘儷 at 2010-03-24 16:22 x
ムズカシイことはわからないけれど
いつも素敵な時間をありがとう

なーんてわけで
今宵よろしゅーに
Commented by yucoon at 2010-03-24 17:03
ムズカシイことはわたしにもわからんのです。
シンプルに生きたいものですわ。
素敵な時間を過ごしましょうね〜。
Commented by jun ito at 2010-03-26 15:51 x
どーも、ひとまず観られて良かったねと。
これを観たときは、ホントにもう自分や自分の周りの暮らしと同じじゃん、という感想だったな。
友達の絵描きが来て、何となく会話したりしなかったり、ってところとか。
この絵は完成させる気はハナから無いよね多分。実の成っている時間を楽しむためにずっと描き続けてるんじゃないのかな。
Commented by yucoon at 2010-03-26 23:41
本当に、この映画のこと教えてくれて、ありがとうでした!感謝です!
知らないまま終わってなくてよかった!
学生のときの感覚をいつまでも持ち続けるっていうか、
忘れかけていたような、大事なものが詰まってるような気がした。
まさしく、実のなってる時間を共に過ごすために、絵があるんだね。
いいな。そういうの。
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